
国家の債務を擁護する 公的債務の世界史 (日本経済新聞出版)
バリー・アイケングリーン、アスマー・エル=ガナイニー、ルイ・エステベス、クリス・ジェイムズ・ミッチェナー、月谷真紀、岡崎哲二
日経BP / 2023-05-19
この本について
最近、ニュースで「国の借金」と聞くたびに、これって本当にそんなに悪いことなのか、でも自分では説明できない…そんなモヤモヤを抱えていました。数字だけが大きく取り上げられる一方で、そもそも公的債務ってどう成り立ってきたのか、なぜ必要とされてきたのかはほとんど語られません。私自身、その空白がずっと気になっていました。 この本は、その穴を埋めてくれます。ただの制度の説明ではなく、古代の神殿が会計スキルを持ちながら国庫を管理していた話や、ローマが貨幣の独占で歳出超過を乗り切っていた話、さらには議会が債権者の声を取り込みながら近代国家が形づくられていく流れなど、「公的債務がどう人々の生活や統治を動かしてきたのか」が具体的なシーンとして見えてきます。抜粋を読んでいても、読者が保存したポイントは、制度の成立を支えた人間側の工夫や葛藤に集まっている印象があります。 特に、自分の理解を揺さぶられたのは、公的債務が単に「借金の拡大」ではなく、金融市場の発展や貯蓄の受け皿を生み、結果的に民間の投資を後押ししていたという部分でした。国が借り入れできるようになるまでに、宗教的な規範が歯止めになった時代もあれば、貸し手側が税の徴収まで監視して信用を確保していた時代もある。歴史を通して見ると、「借金=悪」という単純な図式がどれだけ浅かったかに気づかされます。 経済の話になるとつい苦手意識が出る人でも、歴史の流れに沿って読むことで理解が腑に落ちやすいはずです。特に「国の財政について、自分の言葉で説明できるようになりたい人」には刺さる一冊だと思います。
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