
悲しみの力 「悲しみ」と「切なる思い」が私たちを健全な人間にする
スーザン・ケイン、坂東智子
この本について
最近、理由ははっきりしないけれど心がずっと重いまま、という相談をよく聞きます。仕事でも人間関係でも、うまくいっているはずなのにどこか満たされない。しかもその「悲しさ」みたいな感情を抱えている自分を、さらに責めてしまう。自分も似たようなモヤモヤを抱えてきたので、読者の方が保存していた抜粋を見て、「ああ、この本はまさにそこに触れてくれるんだよな」と思いました。 『悲しみの力』がおもしろいのは、悲しみをポジティブに塗り替えるのではなく、まずその存在をまっすぐ見つめるところから始まる点です。たとえば、死を想像したときには恐怖を思い浮かべるのに、実際に死に近い人たちが語るのは「つながり」や「愛」だという話があります。悲しみに近づくことで、意外にも人との距離が縮まることがある。あるいは、心が痛む場所は、自分が本当に大事にしているものが隠れている場所でもある、という指摘。痛みを押し殺すより、その奥にある願いを丁寧に拾うほうが、結果として回復につながるという視点は、自分にとってかなり現実的でした。 この本は、悲しみを「いいものだから受け入れよう」と押しつけるタイプではありません。むしろ、避け続けるとどう歪んでいくか、逆に向き合ったときに何が芽生えるのかを、人の行動や芸術の例を通して静かに示してくれます。創造性が生まれる瞬間の背景には、しばしば苦痛や喪失がある、という話も、経験として心当たりのある人は多いはずです。 自分の内側にある痛みの正体を少しでも知りたい人、あるいは悲しみとうまく共存する方法を探している人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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