
幕末維新史への招待
町田明広
山川出版社 / 2023-04-21
この本について
仕事でも日常でも、「あの人はなぜこんな判断をしたんだろう」と迷うことがよくあります。立場が違えば見える景色も違う、と頭では分かっていても、実際には相手の思考の流れがつかめずにモヤモヤが残る。幕末もまさにそんな時代で、後から見ると一直線に見える出来事の裏で、当事者たちは葛藤と誤算だらけだったんだろうな、と感じます。 町田明広『幕末維新史への招待』は、その「当事者の見えていた景色」を丁寧に拾い直してくれる本でした。たとえば、条約の勅許をめぐって一橋慶喜が強引に動いた背景には、外国艦隊の圧力や幕府内の不一致があったこと。あるいは、孝明天皇が倒幕を考えなかった理由が、単なる思想ではなく財政構造という現実に縛られていたこと。教科書で「対立」とまとめられてしまう部分に、実際はもっと複雑な利害や事情があったことが見えてきます。 読んでいると、「判断はその時点の材料でしかできない」という当たり前のことが、妙に腑に落ちます。薩摩や長州でさえ、最初から倒幕一直線ではなく、自己改革を期待して幕府に望みをつないでいた時期があったり、イギリスも武力行使をチラつかせながら貿易維持のために戦争を避けようとしていたり。単純な善悪や正誤で整理できない判断が積み重なって、あの時代が動いていったのだと実感させられます。 「歴史の表と裏を行き来しながら、判断の背景を知りたい人」にとっては刺さる本だと思います。自分の行動を考えるときにも、もう少し丁寧に“その人の事情”を見にいこうと思える一冊でした。
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ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
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