
推し短歌入門
榊原紘
左右社 / 20231019
この本について
短歌を読んでいて、「分からないけれど、なぜ分からないのかもよく分からない」という状態になったことがある人、多いと思います。意味の切れ目なのか、表記なのか、そもそも主体が誰なのか……自分でも整理しきれないまま、モヤモヤだけが残る感じ。僕もずっとそこが引っかかっていて、読みたい気持ちはあるのに距離を感じてしまうことがありました。 『推し短歌入門』は、そのモヤモヤをいきなり「正しく読み解く技術」でねじ伏せる本ではありません。むしろ、読み手がつまずくポイントをひとつひとつ分解して、「どこで戸惑っているのか」を一緒に探ってくれる感覚があります。意味・構造・表記・韻律を手がかりに、動詞の多さで歌がパラパラ漫画になるとか、慣用句は世界を狭めてしまうとか、具体的な視点で短歌の仕組みを見せてくれるのがありがたいところです。 また、この本は「分からない」と言い捨てず、その分からなさの内訳を丁寧に見ていく姿勢を教えてくれます。文法や教養の不足なのか、抽象度の高さなのか、あるいは歌が生まれた背景なのか。分からなさに名前をつけられると、短歌との距離がぐっと縮まるんですよね。そして、短歌が合成獣のように組み合わさっているケースがあるとか、表記一つでカメラの位置が変わるとか、読みの世界が広がる瞬間が続きます。 短歌を「なんとなく好きだけど、どう読めばいいか自信がない」と感じている人に特に刺さる本だと思います。難解さを力技で突破するのではなく、丁寧に視界をクリアにしてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
読書の順序
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