
今はじめる人のための短歌入門 (角川ソフィア文庫)
岡井 隆
角川グループパブリッシング / 201109
この本について
短歌をやってみたいけれど、いざ三十一文字を前にすると、どこから手をつければいいのか分からない。日記みたいに説明すると平板になるし、かといって「文学っぽい言葉」を無理に当てはめると、どんどん自分の感情から遠ざかっていく。そんなモヤモヤを抱えたまま時間だけが過ぎる……短歌まわりの悩みって、だいたいこのあたりに落ち着く気がします。 岡井隆『今はじめる人のための短歌入門』は、そういう行き詰まりに対して「型の意味」と「感情の扱い方」を、じわっと腑に落ちる形で示してくれます。五・七・五・七・七という定型を“守るべき制限”ではなく、“音の手触りを生む土台”として捉え直すところは、最初のつまずきを軽くしてくれるし、「説明は外へ追い出す」「名詞を選び、事物を据えつける」といった指針は、何を削り、どこに寄りかかれば短歌らしい立体感が生まれるのかを具体的に教えてくれます。さらに、感情のあいまいな部分に三十一文字の形を与えるという話は、自分の内側をそのまま素材にしていいのだと背中を押してくれるところでした。 読みながら感じたのは、短歌の技法書というより、「どうすれば自分の感情に届く言葉を見つけられるか」を一緒に探す案内役に近いということです。好きな歌を暗誦する理由も、先人の型を借りる意味も、実作のための知として無理なくつながっていく。短歌に興味はあるけれど、表現に踏み出す勇気が出ない人に、静かに効くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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