
シン・オーガニック
吉田太郎
農山漁村文化協会(農文協) / 2024-07-16
この本について
農業の話って、自分には関係ないと思いながらも、食べ物の安全とか気候の変化を感じるたびに、どこかモヤっとすることがあります。農薬って本当に必要なのか、とか、土って放っておけば元気になるのか、とか。でも調べようとすると、専門用語だらけで一気に迷子になるんですよね。 『シン・オーガニック』は、そのモヤモヤを無理に前向きに変える本ではなく、今の農業で起きている「なぜそうなるのか」を一緒にたどってくれる本でした。たとえば、害虫が増える理由が「農薬を使わないから」ではなく、天敵ごと根こそぎ落としてしまうことでバランスが崩れていた、とか。あるいは、亜鉛や硫黄みたいな微量な栄養の不足がアミノ酸の偏りを生み、それが虫害や病気の増加につながる、とか。こういう因果が具体的に積み上がっていくので、知識というより“風景の見え方”が変わっていきます。 読み進めて思ったのは、土壌の状態って勘や根性でどうにかする話ではなく、微生物の働きや土着菌のデータ解析まで含めた「生態系としての土」を理解することなんだということでした。無農薬が正義だ、みたいな単純化ではなく、好気性と嫌気性のバランスや、腐植がどう生まれていくのかといった、地に足のついた説明が続くので、途中から“土って生き物だな”という感覚になります。 食や環境に漠然とした不安があるけれど、理想論だけではピンとこない人。そんな人にとって、この本は極端に走らず、でも現実をまっすぐ見るための視点をくれる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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