
この本について
人と関わっていると、どうしても「自分は誰かを傷つけてしまっていないか」とか、「役に立てている場所って本当にここなんだろうか」といったモヤモヤが出てきます。仕事でも家庭でも、正しさと弱さが同居する自分に少しうんざりする日もあります。そんなときに『塞王の楯 下』を読むと、勝ち負けとか優劣とは別のところで、人の心がどう積み上がっていくのかを静かに教えてくれる感覚がありました。 この物語の人たちは、強さだけで立っているわけではなく、迷いながら、それでも誰かを守りたいという思いに突き動かされていきます。矛でも楯でもなく、結局は人の心が泰平をつくるという視点に触れると、立場やスキルの差ではなく、関わり合う意志そのものが場を動かすんだなと腑に落ちていきます。そして、大小さまざまな石が嚙み合って石垣になるように、自分も「形が整っているかどうか」ではなく、「置かれた場所で意味を持つ存在なんだ」と思えるのが、この本の大きな効き目です。 さらに、将としては二流かもしれないと言われる高次が、それでも人の力を信じ、任せ、責任を負う姿は、組織で働く誰にとっても救いがあります。完璧さではなく、関係の築き方によって周囲が力を出し始める様子は、自分の仕事への姿勢をそっと修正してくれるはずです。 自分の役割に迷っている人、人との関わりに正解を求めすぎて疲れている人には、特に深く届く一冊だと思います。
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