
城塞(上)(新潮文庫)
司馬 遼太郎
この本について
仕事でも人間関係でも、相手の考えていることがつかめないまま動いてしまって、「あれ、なんでこうなるんだろう…」と立ち止まることがよくあります。正しさで押して失敗したり、逆に相手の機嫌ばかり気にして疲れたり。自分の器量や立場がどの程度なのか、それを直視するのもなんだかしんどい。そんなときに読むと、妙に心が静まるのが『城塞』の上巻でした。 この本の面白さは、立場の弱さや恐れ、迷いがむしろ「人間を動かしているもの」として描かれているところです。たとえば、恐怖が想像力を生むという視点は、無理に胆力をつけようと肩に力が入りがちな自分にはかなり刺さりました。強がって振る舞うより、自分の不安を認めたほうが状況を読めることって実際ありますよね。また、豊臣側の家臣たちがそれぞれの「器量の限界」を自覚したり誤解したりしながら動いていく姿を見ていると、仕事での判断ミスや立ち回りの難しさも、決して自分だけの問題じゃないんだと思えてきます。 もうひとつ印象に残るのは、「正義か不正義か」でしか物事を見られない者と、「利害でものを見る者」の違いが、組織をどう傾けていくかという描写です。抽象的に聞こえるかもしれませんが、実際には、会議で理想だけ語って空回りする人や、逆に保身に走りすぎて場を濁す人など、現代にもそのまま当てはまる場面が多い。歴史物というより、人間の動き方の観察記録のように読めました。 自分の立場や弱さを抱えたまま、それでも判断し続けなきゃいけない人に、そっと効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
読書の順序
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