
MORAL 善悪と道徳の人類史
ハンノ・ザウアー and 長谷川圭
講談社 / 2024-11-22
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推定読了時間 約6時間2分
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この本について
最近、人の価値観に振り回されたり、「なんでこんなに分断が進むんだろう」とか、「正しさって結局なんなんだろう」とか、答えのないモヤモヤを抱えることが増えている気がします。自分の判断が正しいのかもよくわからなくなるし、他人の行動が妙に気になってしまうこともある。そんなときに、この本の視点がじわっと効きました。 『MORAL』は、いわゆる道徳論の正解を教えてくれる本ではなくて、人間がどうして“こういうふうに感じてしまうのか”を、進化や歴史の積み重ねとして見せてくれます。私たちの価値観がヘッドライトのように限られた範囲しか照らせないこと、懲罰への欲求が実は「合理性」ではなく報復の衝動に近いこと、協力の輪が広がる一方で「我々」と「彼ら」を分ける心理が強化されてしまうこと。どれも日常で覚えのある感情に、少しだけ距離を置く余裕をくれました。 個人的には、「道徳がこんなに揺らぎやすいのは構造の問題であって、自分が未熟だからではない」と思えたことが大きくて、他人の行動に過剰に反応しないでいられる場面が増えました。正しさに迷う瞬間を、“昔からそうだったもの”の延長で捉えられるだけで、だいぶ呼吸がしやすくなります。 自分のモラル感覚に振り回されがちな人、あるいは人間の行動原理をもう少し俯瞰して見てみたい人には、かなり刺さると思います。
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出版社による紹介
人間は、どのようにしてモラルを持つようになったのだろう? 助け合うよう生まれついているはずなのに、今や普遍的なモラルなど失われたかのようだ。だが、人類が共有するモラルは存在する。モラルの起源が理解できれば、モラルの未来も見えてくる。 生物学的、文化的に社会が進化していく過程でモラルはどのように形成されたのか――哲学の専門知識とさまざまな研究データをもとに解明。現在の私たちのあり方を決定づけた進化の歴史が明らかになる。 狩猟時代から現代に至るまで、人間のモラルの基本は「個人の利益<共同体の利益」である。脆弱なホモサピエンスが生き延びるには、それは最良の手段だったからだ。5万年の歴史を通して、社会的構造の変化とその後の経済発展により、モラルはさまざまな変容を遂げてきたが、基本は今なお変わらない。 人間の善と悪はどのようにつくられてきたか? 歴史の流れを軸に、哲学、経済、生物学的な分析をもとに「モラルの変遷」を説明。 かつてない不平等と分断の時代、他者に限りなく不寛容で、モラルに反するものを厳しく罰し、個人主義が浸透しすぎた時代、どのように新たなモラルをつくるべきか? 著者の結論は人間のモラルの基本に立ち戻ること。国・民族・宗教などを問わずに人類に共通する「個人の利益<共同体の利益」を新たなモラルにすべきだというものである
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