
翻訳をジェンダーする (ちくまプリマー新書)
古川弘子
筑摩書房 / 20240911
累計読者数3
平均ハイライト数 3.7件/人
star総合評価 41/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 42%
この本について
「なんで自分が使っている言葉って、こんなにも“当たり前”に感じるんだろう」と思うことがあります。誰かの発言に違和感を覚えるのに、自分の感覚の根っこはよくわからない。翻訳小説を読むときも、登場人物の口調が気になっても理由がつかめないまま読み進めてしまう。そんなモヤモヤを抱えたまま日々過ごしている人は多いと思います。 『翻訳をジェンダーする』は、その“当たり前”に入り込んでいる視点をそっと指でつまみ上げてくれる本でした。戦後からずっと、翻訳の中の外国人女性がもっとも典型的な「女ことば」を話してきたという指摘は、読み慣れたはずの文章の輪郭を一度取り外して見直すような感覚があります。自分の経験や学びを通して身についた見方は、コンタクトレンズみたいに外しにくい。でも、だからこそ気づかないまま広まっていく考えがあるんだと実感しました。 読み進めるうちに、翻訳で選ばれる語尾ひとつが、その社会にある前提や価値観を映していることが見えてきます。大きな理論を振りかざすというより、日常で何度も触れてきた言葉の裏側を静かに照らす感じで、読後にじわっと効いてきます。「自分にとって当たり前なことは、目に見えない」という一文が刺さる人には特に向いていると思います。 言葉への違和感の理由を知りたい人、翻訳を読みながらうまく言語化できない引っかかりを抱えてきた人には、かなりしっくりくる一冊です。
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出版社による紹介
翻訳された言葉には必ずわたし達の社会があらわれ、
そして翻訳されたものは社会に影響を与える。
翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されていることがあります。翻訳と社会とわたし達の密接な関係を読みとき、性差別をなくすための翻訳、社会に抗する翻訳の可能性を探る一冊。
「はじめに」より一部抜粋
翻訳には、それまでにあった古い考えにとらわれない、新しい言葉を生み出す可能性があります。そして、社会の中に存在しなかったり、埋もれたりしている概念を言葉によって「見える化」したり、それまでの偏った見方を変えたりする力があります。
目次
【目次(一部)】
はじめに
『プラダを着た悪魔』の主人公はどんな話し方をする?
「ハリー・ポッター」のハーマイオニーには友だちがいない?
小説はフィクション、わたしたちはリアルな存在
[……]
第一章 小説の女たちはどう翻訳されてきたのか
日本語への翻訳とジェンダー
日本語の女ことばと男ことば
翻訳の中の女性はもっとも典型的な女ことばを話す?
翻訳小説の女性の話し方vs現実の女性の話し方
児童文学ではどうなる?
児童文学は保守的。児童文学の翻訳はもっと保守的。
翻訳者が再現しようとすること
汚いとされる表現にも意味がある
[……]
第二章 女たちのために自分たちで翻訳する
一九七〇・八〇年代に、自分でいる力をくれた翻訳があった
女性の健康のバイブル『Our Bodies, Ourselves』
わたしのからだは自分のもの。自分のからだをよく知ろう。
自分を大切に生きる権利は、みんなにある
『Our Bodies, Ourselves』の時代―個人的なことは政治的なこと
『女のからだ』の時代―ウーマン・リブ
『からだ・私たち自身』の時代―ウーマン・リブからフェミニズムへ
フェミニスト翻訳の三つの具体的な方法
『女のからだ』のフェミニスト翻訳の方法
『からだ・私たち自身』のフェミニスト翻訳の方法
[……]
第三章 これからのために翻訳ができること
これから考えられる三つの変化
①一律の女らしさから、それぞれの個性へ
②ネガティブなイメージのない性器の名称へ
③「彼」と「彼女」だけでなく、インクルーシブな代名詞を
読んだ内容を、もう忘れない。
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