
A.T. カーニー 業界別 経営アジェンダ 2025 (日本経済新聞出版)
A.T.カーニー
日経BP / 2024-11-15
この本について
事業の将来像を考えるとき、結局「自社はどこで勝てるのか」がふわっとしたまま止まってしまうことが多いと思います。市場が伸びない、技術は変わる、規制も読みにくい。その中で何を軸に判断すればいいのか、自分でも曖昧なまま資料だけ積み上がっていく感じ、よく分かります。 この本は、そうした曖昧さを一段ほぐしてくれる実務寄りの視点が多い印象でした。例えば、再エネや海運、メーカー、自動車、小売など、それぞれの業界で「実際にどこがリスクドライバーになるのか」や「どんな構造変化が利益に効くのか」が、生々しいオペレーションレベルで語られています。シェア拡大の手段がアライアンスに振れる理由や、データ入力ひとつでリスク分析が狂う現場の話、小売が惣菜やメディア事業に価値を見出す背景など、机上の戦略論では拾いづらい判断軸が見えるのがありがたいところです。 また、各業界で共通していたのは、「技術や市場の変化に対して、どこを標準化し、どこに投資して差別化を作るのか」を冷静に決める必要性でした。BEV・SDV化の流れでOEMとサプライヤーの関係がどう変わるのか、店舗とオンラインがどう補完し合うのか、こうした動きが自分の業界にどう波及しそうかを考えるきっかけになります。 曖昧なままではいられないけれど、単純化されたスローガンにも頼りたくない、そんな人に向いています。自分の立場に引き直すための“思考の足場”がほしいとき、静かに効いてくる一冊でした。
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