
ワイルドサイド漂流記 歌舞伎町・西成・インド・その他の街 (文春e-book)
國友 公司
文藝春秋 / 2025-06-25
この本について
人の多い街にいると、自分がどこに立っているのか急にわからなくなる時があります。仕事でも人生でも「このまま真面目にやってていいのか」「もっと別の生き方があったんじゃないか」とか。けれど、考えれば考えるほど視野が狭くなって、かえって身動きが取りづらくなることもあるんですよね。 『ワイルドサイド漂流記』を読んでいて感じたのは、そういう“行き詰まり”みたいな感覚に、まったく別の角度から風を通してくれる本だということです。著者が歩いた歌舞伎町、西成、インド、モンゴル…どこも刺激が強い場所なのに、不思議と冷静で、相手の人生や風景を淡々と受け止めていく。その視点に触れていると、自分が抱えている「こうあるべき」に少しずつ余白が生まれてくるんです。街の記憶が風化していく感覚や、田舎にも都会にも幻想を抱きすぎていたことに気づくくだりは、個人的にも刺さりました。 もうひとつ良かったのは、どんな場所にも“普通に生きている人”がいることを、変に美化せず描いているところです。西成のドヤに泊まりながら黒岩重吾を読むシーンも、インドで出会う少女たちの残酷な現実も、モンゴルの青年が意味もわからず日本語Tシャツを着ている描写も、全部「人ってこういうものだよな」と思わせてくれる。自分の判断軸がちょっと揺れるような、でも嫌な揺れ方ではないんです。 日常の景色が薄く感じてきた時や、別の人生を想像してばかりいる時に読むと効きます。世界の“端っこ”にいる人たちの物語なのに、自分の足元が少しだけラクになる。一歩引いた視点を欲している人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本の後に読まれた本
6月の本 (12か月の本)
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