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ワイルド・ソウル(上)(新潮文庫)

ワイルド・ソウル(上)(新潮文庫)

垣根 涼介

幻冬舎 / 2003-08-25

累計読者数31
平均ハイライト数 18.3件/人
推定読了時間 約10時間30分
star総合評価 51/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%

この本について

仕事でも生活でも、「努力してるのに報われてる感じがしないな…」とか、「自分だけ別の舞台に立ってるんじゃないか」という感覚、けっこうしぶとくつきまといますよね。逃げ場があるようでなくて、でも踏ん張る理由も見つからない時期って、誰にでもあると思います。 『ワイルド・ソウル』の抜粋を読んでいると、その“しぶとい感覚”に正面から触れてくる場面が多いんですよ。例えば、異国の地で何度も職探しに失敗しながら、それでも淡々と川に出て食料を集める衛藤の姿は、「意味が見えなくても動くしかない時間」を経験した人には刺さるはずです。さらに、国家や社会への失望に直面しながらも、目の前の相手との信頼だけは崩さなかった姿勢には、どんなに状況が悪くても“自分が依って立つ場所”を手放さないことの重さがにじんでいます。そして、裕福な観光客を横目に「自分はもう同じ舞台ではない」と痛感するシーンは、環境や選択の違いが残酷に差として現れる瞬間のリアルさが、胸に迫ります。 この小説が効いてくるのは、前向きになりたいというより、「今の自分の足元をちゃんと見たい」と思っている時です。華やかな成功物語ではなく、泥まみれでも信頼だけは曲げなかった人間たちの姿が、変に飾らずに自分の輪郭を整えてくれる感じがあります。 自分の立っている場所に確信が持てない人にこそ、じわっと沁みる一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

1961年、衛藤一家はアマゾンの大地に降り立った。夢の楽園と信じて疑わなかったブラジルへの移住―しかし、それは想像を絶する地獄の始まりだった。逃げ出す場もないジャングルで獣に等しい生活を強いられ、ある者は病に息絶え、ある者は逃散して野垂れ死に...。それがすべて日本政府の愚政―戦後の食糧難を回避する“棄民政策”によるものだと知った時、すでに衛藤の人生は閉ざされていた。それから四十数年後―日本国への報復を胸に、3人の男が東京にいた。未開の入植地で生を受けたケイと松尾、衛藤同様にブラジルを彷徨った山本。報道記者の貴子をも巻き込んだ用意周到な計画の下、覚醒した怒りは300発の弾丸と化し、政府を追いつめようとするが...。それぞれの過去にケリをつけ、嵌められた枠組みを打破するために、颯爽と走り出した男女の姿を圧倒的なスケールと筆致で描く傑作長篇小説。
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