
探偵小石は恋しない
森バジル
小学館 / 2025-09-18
この本について
仕事の人間関係とか、家庭の問題とか、気づけば自分の手に負えないことばかり増えていく感じってありますよね。誰かの「事情」に触れるたびに、距離の取り方が分からなくなるというか。踏み込みすぎても疲れるし、離れすぎると冷たい人みたいで、それはそれでしんどい。そんなモヤモヤを抱えているとき、この物語の小石と蓮杖の距離感が妙に沁みました。 二人とも探偵という仕事柄、他人の裏側を見ざるを得なくて、しかも「良い/悪い」と切り分けられない現実に正面から触れ続けます。でも小石は、やさぐれたような軽さで「世の中に良い人なんていなくて」と言いながら、それでも依頼者の疲れや事情にはきちんと目を向けている。仕事をただの作業にしないための、ゆるい誠意みたいなものが随所にあって、読んでいて肩の力が抜けました。 それから、恋愛を「赤い矢印」として可視化できてしまう設定が意外と効いていて、他人の感情に巻き込まれるしんどさがすごくリアルなんです。自分の気づかないところで誰かの感情が動いていて、それにどう向き合えばいいのか分からないまま日常は続く。小石がそれを淡々と受け止めていく姿に、無理に強くならなくていいんだな、と思わされました。 他人に深入りしがちだけど、本当は少し距離を置きたい人。そういう人には特に刺さると思います。物語としての面白さはもちろんあるんですが、それ以上に、自分の立ち位置の調整の仕方をそっと教えてくれるような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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