
この本について
仕事でも人間関係でも、「相手の理屈が全然わからない」とか「自分は意味あることだけ考えたいのに、現場は無意味な動きばかりだ」とか、そんなモヤモヤを抱えることってあると思います。頑張って正論で整理しようとするほど、むしろ手詰まりになる感じ。僕自身そうで、特に異文化チームや部署横断の話になると、正しさより“情動”や“恐れ”が場を動かしているのを痛感します。 『チップス(下)』は、そこで見えてくる「力学」の描写が妙にリアルなんですよね。国家ですら理屈では動かず、欲望・恐怖・面子が最終判断を左右する。その中で鷲津がどう線を引き、どこは飲み込み、どこは絶対に譲らないのかが、仕事で意思決定に迷った時の「考え方の軸」に近いものをくれます。例えば、台湾人エンジニアの価値観やアジア系アメリカ人が背負う鎧の描写は、単なる“文化理解”ではなく、相手の行動の背景にある長い時間を想像する練習にもなる。さらに、国際政治の場で飛び交う理不尽の連続を読むと、「正しさだけでは勝負できない場」の空気を疑似体験できるのが大きいです。 最終的に、この物語は“強く合理的に見える人ほど、実は何を恐れ、何を守りたいと思っているかで動く”という視点をくれます。これは職場の上司や取引先にもそのまま当てはまるはずです。 刺さるのは、「正しさだけでは前に進めない瞬間が増えてきた人」。物語として面白いのはもちろんですが、読み終わった後、複雑な状況にある相手を少し立体的に見られるようになる一冊でした。
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