
天国はまだ遠く(新潮文庫)
瀬尾 まいこ
この本について
仕事や人間関係がうまくいかなくて、何をしても前に進んでいる感じがしない時ってありますよね。自分では変わりたいと思っているのに、何年も同じ場所で足踏みしているような気がする。でも、ある日ふとした拍子に「今の場所じゃないのかもしれない」と心が動く瞬間が来たりもします。『天国はまだ遠く』を読んだ人が抜き出していた部分は、まさにその“揺れ”に寄り添っているように感じました。 この物語が効いてくるのは、まず「変われないままの自分」を責めなくてよくなるところです。長年抱えていた気持ちも、たったひとつの出来事であっさり変わってしまうことがある。その事実を静かに受け取れると、今の停滞も“動き出す前の時間”として見えてきます。また、自然の中で暮らす主人公が「ここを愛しているのに、自分の居場所ではない」と気づく場面は、好きと続けられるは別物なんだと教えてくれます。何かを手放すことが、逃げでも失敗でもないと思えるようになるのが、この本のやさしいところです。 そしてもう一つ印象に残るのは、少し距離を置くと、必死だったものが意外と軽やかに手放せてしまうという感覚です。恋愛でも仕事でも、あれほど重要だと思っていたものが、環境が変われば自然に手から離れていく。その経験がある人には、物語の空気がそのまま自分の心に重なってくるはずです。 今の生活に違和感があるのに決定打が出せない人、自分の“次の一歩”を探しあぐねている人には、静かだけど深く刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
読書の順序
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