
ザ・万歩計 (文春文庫)
万城目 学
文藝春秋 / 2010-07-10
この本について
仕事でも趣味でも、がんばりたい気持ちはあるのに、いざ始めると「集中できない」「乗らない」「そもそも本当にやりたいのか自信がない」という日、けっこうありますよね。僕も同じで、机に向かうたびに気持ちが迷子になることがあります。 『ザ・万歩計』を読んで感じたのは、その迷子っぷりを無理に矯正しなくていいんだな、という安心でした。万城目さん自身、書くことが好きなはずなのに「いやだな、いやだな」とつぶやきながら机に向かい、気を抜くとお気に入りの音楽でライブ会場が始まってしまうし、ふとソファに座れば「きもちいい」しか考えられなくなる。それでも、いつの間にか作品は完成している。この“ぐだぐだのままでも前に進んでしまう感じ”が、自分の生活と妙に重なりました。 もうひとつ刺さったのは、人との関係での「反対されることで、むしろ自分の気持ちを確かめたがっていた」という描写です。誰かに止められると、かえって本気度がわかる、あのややこしい感情。そこまで dramatize せず、淡々と描くからこそ、妙にリアルに響きました。言いたいことが伝わらない悲しさも含め、うまく言語化できない心のざらつきを拾ってくれます。 肩ひじ張って生きようとしなくても、日々の“っち”みたいなつまずきや寄り道を抱えたまま進めばいい。そんなふうに思わせてくれる本です。焦りやすい人より、むしろ「自分のペースが掴めなくて困ってる人」に刺さる気がします。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
読書の順序
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