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八月の御所グラウンド (文春e-book)

八月の御所グラウンド (文春e-book)

万城目 学

文藝春秋 / 2023-08-03

累計読者数8
平均ハイライト数 10.3件/人
推定読了時間 約2時間35分
star総合評価 61/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 64%

この本について

日々、目の前のことをこなすだけで精一杯なのに、ふと立ち止まると、自分はどこに向かっているんだろう…と妙に不安になることがあります。人間関係も、勉強や仕事のペースも、気づけばじわじわと崩れていたり、逆に思わぬ縁に救われたり。その「じわじわ」に名前がつけられないまま、大人になってしまった感じがあるんですよね。 『八月の御所グラウンド』は、そんな曖昧さをそのまま物語にしていて、読んでいると「人生ってこういう濃淡でできてるよな」と不思議に落ち着いてきます。登場人物たちの揺らぎは派手ではないのに、自分のどこかに重なる瞬間が多いです。置いてきぼりの卒論、少しずつ遠ざかる関係、うまく言えない違和感に気づいたときの身体のざわつき…。そういう場面が丁寧に描かれていて、「自分だけじゃないんだ」と思わせてくれるところがありがたいです。 同時に、この小説は京都という土地の空気や、戦争を生きた人の影がそっと混ざり込んでいて、今いる自分の時間の厚みみたいなものを意識させられます。大きな教訓を押しつけてくるわけではなく、ただ、目の前の景色や人の表情の変化が、じわっと心に沈んでいく。その余韻のおかげで、次の日ちょっとだけ人に優しくなれたり、何かをもっとていねいに扱いたくなったりします。 登場人物の不器用さに、自分の生活のどこかが反応する人に刺さる作品だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

京都が生んだ、やさしい奇跡。 ホルモー・シリーズ以来16年ぶり 京都×青春感動作 女子全国高校駅伝——都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。 謎の草野球大会——借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。 京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは——。 今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない 人生の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る傑作2篇。 大学時代を京都で過ごした万城目学さんが『鴨川ホルモー』でデビューしたのは2006年。その後も『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』など、独自の世界観と鮮烈な感性で私たちを驚かせ続けてきましたが、意外にも京都を舞台にしたのは『ホルモー六景』(2007年)が最後でした。 その万城目さんが16年ぶりに京都に帰って来ます。収められた2篇はそれぞれ、女子高校生と男子大学生を主人公としたド直球の青春小説。まさに「ホルモー」シリーズの万城目学、再来!とも言えますが、「ホルモー」が途轍もない勢いを感じさせる作品だとしたら、本書は瑞々しい感性はそのままに、しかしどこか成熟の匂いがします。 京都で起こる奇跡のようなフシギな出来事が、私たちの心の中にじんわりと優しく、同時になんとも切ない感情を呼び起こすのです。青春とは、人生とは、こうしたものかもしれない、そういう名状しがたい感動が心に拡がります。もしかすると、これまでのどの万城目作品にもなかった読後感かもしれません。 鮮烈なデビューから17年。いまふたたび、万城目学に「再」入門してみてはいかがでしょうか。
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