
ドストエフスキーとバルザック
坂口 安吾
累計読者数3
平均ハイライト数 5.7件/人
star総合評価 51/100
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この本について
小説を読んでいて、「人物が動く理由がどうにも薄く感じるな…」とか、「もっと人間がのたうつ感じを味わいたいのに、なぜか整ってしまう」といったモヤモヤ、僕自身けっこうあります。日常でも、人の行動や自分の感情に理由をつけようとすると急に嘘っぽくなってしまう瞬間があって、説明の限界みたいなものにぶつかるんですよね。 坂口安吾の『ドストエフスキーとバルザック』を読むと、そのモヤモヤに少し風が通ります。人物が“深い根っこから行動してしまう”という感覚を、彼ははっきり言葉にしてくれますし、むしろ説明しきれない混沌こそが小説を動かしているのだ、と背中を押してくれます。さらに「名文かどうかは本質じゃない」という視点もあって、文章を磨くことより、人間の震えをどう描くかを考える方が大事なんだと腑に落ちました。作品づくりに限らず、人の気持ちを理解しようとする時の姿勢にも効いてきます。 日本の文学が陥りがちな“行為を出し惜しみするリアリズム”への疑問も語られていて、もっと大胆に、もっと飛躍して人間を描いていいんだと許される感じがあるのも大きいです。自分の生活をそのまま書かない、という安吾の言葉は、現実をただなぞるだけでは届かない真実があることを思い出させてくれます。 創作をしている人はもちろん、人間の動きに「説明できない何か」を感じている人に刺さる一冊です。
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