
プロタゴラス~あるソフィストとの対話~ (光文社古典新訳文庫)
プラトン and 中澤 務
この本について
仕事でも日常でも、人と話していて「これ、正しさってどこから来るんだろう」とか、「自分の考えにどれだけ根拠があるんだろう」と立ち止まる瞬間ってありますよね。相手を責めたいわけじゃないのに、つい感情で反応してしまうこともあるし、逆に自分の意見を言うのが怖くなることもある。僕もそこでもやもやし続けてきた一人です。 『プロタゴラス』は、そんな感覚に妙にフィットしてきました。抜粋にもあるように、人間が「政治の技術」を持たずに滅びかける場面や、不正を罰するときに理性を保てるかどうかという議論、そして「徳はそもそも教えられるのか」という問いかけ。どれも抽象的に見えて、実際はかなり日常に近いテーマなんですよね。僕自身、議論や会議がうまくいかないとき、問題はスキルよりも「どんな前提で考えているか」にあると感じるんですが、この本はその前提をいったんバラして点検させてくれる感じがあります。 特に効いたのは、人は皆「正しい人間として振る舞わなければならない」と信じてしまう構造や、教育が子どもの心をどう形づくるのかという話。自分の中の“当たり前の基準”がどこから来ているのか、立ち止まって考える手がかりになります。対話篇なので答えが出ないまま終わるのですが、その“行き詰まり”自体が、自分の思考を棚卸しするきっかけになるんですよね。 自分の思考の土台を一度ほぐしてみたい人、特に「議論が苦手なのに議論せざるをえない場にいる人」に静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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