
余と万年筆
夏目 漱石
累計読者数4
平均ハイライト数 1.3件/人
star総合評価 42/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 63%
この本について
道具選びで変にこだわってしまって、気づけば「自分は何を求めているんだっけ」と迷子になることってありますよね。文房具でもガジェットでも、選ぶプロセスそのものが目的化してしまう感じ。僕もよくやってしまうので、漱石が万年筆を前に右往左往している姿に妙な親近感がわきました。 『余と万年筆』には、専門家ぶるでもなく、妙に悟ってもいない、ただ自分の不器用さや偏りと向き合う漱石の姿が淡々と描かれています。特に、素人だから分からないはずの差を一生懸命感じ取ろうとしてしまうところや、思ったように書けない万年筆に振り回されてしまうところは、道具や環境に期待しすぎてしまう自分の姿と重なります。漱石自身が「精通していない」とあっさり言い切ってしまう感じも、変に力まずにいられる視点の転換でした。 読んでいて思ったのは、結局のところ「好きで選んだはずのもの」との距離感をどう保つかなんですよね。飽きては新しいものを試したくなる気持ちや、思い通りにいかない苛立ちさえも含めて、もう少し軽やかに扱っていいのかもしれない。道具選びそのものが苦しくなってきた時、小さな休憩みたいに効く文章です。 物選びに疲れやすい人にとって、静かに刺さる一編だと思います。
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