
モダンタイムス(上) (講談社文庫)
伊坂幸太郎
講談社 / 2011-10-14
この本について
仕事でも生活でも、考えてもどうしようもないことに頭を持っていかれて、気づけば一日終わっている。周りの評価や世間の「正しさ」に引っ張られながら、自分の判断がどこまで自分のものなのか分からなくなる。そういう時期って、誰にでもありますよね。僕もまさにそこでもがいている最中です。 伊坂幸太郎の「モダンタイムス(上)」は、派手に背中を押してくるタイプの本ではありませんが、読んでいると視点がじわじわずれていく感覚があります。たとえば、他人の判断に合わせるのは人間として自然なことだけど、その構造を利用されると簡単に誘導されてしまう、という指摘。これはネットや職場に身を置くほど実感が湧きます。自分の考えだと思っていたものが、環境の産物かもしれないという薄い怖さもある。そして、考えても仕方ないことではなく、自分の手の届く行動に力を使えよ、という一言の現実味。これは理論ではなく、物語の中で主人公が追い詰められていくからこそ刺さるんだと思います。 もう一つ、楽観は逃避ではなく「精神的な勇気」だという話も、状況が複雑になっていくほど重みを増します。悲観のほうが賢そうに見える場面でも、前を向くという選択がどれだけ難しいか。そこに物語がリアルに手を伸ばしてきます。 自分の思考が環境に振り回されがちな人、判断に自信をなくしている人には特に沁みるはずです。物語として面白いのはもちろんですが、気づけば自分の生活を見返すきっかけにもなる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
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