
脳の科学史 フロイトから脳地図、MRIへ (角川SSC新書)
小泉 英明
角川グループパブリッシング / 2011-03-25
この本について
仕事をしていると、自分の判断ってどこまで「自分の頭」で考えているのか、ときどき不安になることがあります。感情に流されたり、理由の分からない違和感だけが残ったり。脳のことなんて普段考えないけれど、知らないまま積み重ねている思い込みは意外と多いのかもしれません。 この本は、最新の脳科学をまとめた解説書ではなく、脳の歴史をたどりながら「人はどうやって今の理解にたどり着いたのか」を見せてくれる一冊です。たとえば、音の捉え方ひとつとっても、人間が言語を扱えるのは相対音感のおかげかもしれないという視点が出てくる。言葉の食い違いが起きたときに、単なる性格の問題ではなく、そもそも脳の仕組みの可能性もある、と気づけるだけで日常の摩擦が少し軽くなります。また、ミラーシステムの話も面白くて、相手の動きや気配に反応してしまうのは「そういう構造を持っているから」と腑に落ちる。自分のクセや対人関係のズレを責めるより、観察の仕方が変わる感じがあります。 さらに、この本は現代のMRIなどの技術がどれだけ長い試行錯誤の果てに今の形になったのかも教えてくれるので、「脳の仕組みを理解する」というより「人が脳をどう理解しようとし続けてきたか」が見えてきます。過度に期待させる本ではないけれど、思考の土台をちょっと整えたいときに効くタイプです。 自分の感じ方や判断のクセを、もう少しニュートラルに見たい人に刺さる本だと思います。
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