
天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)
小川 一水
この本について
仕事でも日常でも、人と関わるたびに「自分の感じ方は変じゃないか」と不安になることがあって、あとから言葉を選び直したくなる瞬間ってありませんか。気持ちをうまく掴めないまま、相手との距離だけが微妙にズレていくあの感じです。僕自身、そういう噛み合わなさに何度も疲れてきました。 『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)』は、宇宙開拓という大きな舞台の話なのに、人と人のささやかな誤解や、名前をつけるときの戸惑い、音楽をめぐるすれ違いが、とても生々しく描かれています。たとえば、何気ないひと言が相手を泣かせてしまう場面や、初めて飲むコーヒーに本気で驚いてしまう田舎者の会話。こういう細部が積み重なることで、「ああ、人間ってこうやって互いに踏み込んだり後ずさったりして生きてるんだな」と、妙に胸が落ち着くんです。遠い未来の物語なのに、私たちの日常のぎこちなさを照らしてくれるところが、この巻の一番の魅力だと思います。 特に、立場の違う者どうしが、相手の背景を知らないまま判断してしまう場面が多くて、そこが今の仕事や人間関係にもそのまま重なるんですよね。理解したつもりで理解できていなかったり、知らない文化や常識を前提に話してしまったり。そのズレに気づくと、自分の中の視界が少しだけ開けます。これは「人間関係で何度も噛み合わなさを経験してきた人」に刺さると思います。 大事件が起こる前の静かな部分が多い巻ですが、その静けさのなかに、僕らが普段見落としている感情の動きがたくさん埋まっています。未来SFなのに、人づきあいで迷った日の帰り道に読みたくなる、不思議な温度の一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要








