
誰もいない夜に咲く (角川文庫)
桜木 紫乃
KADOKAWA / 2013
この本について
最近、人との距離感がよくわからなくなることがあります。話せば近づける気もするし、話すことで逆に遠くなる気もする。逃げたいのか踏みとどまりたいのか、自分の中でも答えが揺れていて、どこにも正解がないまま一日が終わっていくような感じです。 『誰もいない夜に咲く』を読んでいて思ったのは、「孤独」とか「逃げる」といった言葉が、決意でも弱さでもなく、もっと生活に近い温度で描かれていることでした。自分が動かないと何も変わらないという淡々とした事実や、誰かと一緒に過ごしても記憶を少しずつ食いつぶしてしまう感覚に、思い当たる人は多いんじゃないかと思います。登場人物たちの選択は劇的ではないし、報われ方も大きくはないけれど、その小ささが逆に現実っぽくて救われるところがありました。 特に、「逃げてもいい」という言葉が繰り返し出てくるのですが、それをかっこよく肯定するわけでも否定するわけでもなく、逃げたことで増える後ろめたさや、戻ってしまったときの情けなさまで描かれていて、自分の中にある弱さを丁寧に掬われるような感じがします。生きていればすべて過去にできる、という一文も、励ましというより、今ここでなんとか続けるための小さな灯りみたいでした。 人との距離に疲れたときや、自分の選んだ道に自信がなくなったとき、静かに寄り添ってくれる物語です。どこにも居場所が定まらないと感じている人ほど、じんわり刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要




