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誰もいない夜に咲く (角川文庫)

誰もいない夜に咲く (角川文庫)

桜木 紫乃

KADOKAWA / 2013

累計読者数4
平均ハイライト数 7件/人
推定読了時間 約2時間41分
star総合評価 57/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 71%

この本について

最近、人との距離感がよくわからなくなることがあります。話せば近づける気もするし、話すことで逆に遠くなる気もする。逃げたいのか踏みとどまりたいのか、自分の中でも答えが揺れていて、どこにも正解がないまま一日が終わっていくような感じです。 『誰もいない夜に咲く』を読んでいて思ったのは、「孤独」とか「逃げる」といった言葉が、決意でも弱さでもなく、もっと生活に近い温度で描かれていることでした。自分が動かないと何も変わらないという淡々とした事実や、誰かと一緒に過ごしても記憶を少しずつ食いつぶしてしまう感覚に、思い当たる人は多いんじゃないかと思います。登場人物たちの選択は劇的ではないし、報われ方も大きくはないけれど、その小ささが逆に現実っぽくて救われるところがありました。 特に、「逃げてもいい」という言葉が繰り返し出てくるのですが、それをかっこよく肯定するわけでも否定するわけでもなく、逃げたことで増える後ろめたさや、戻ってしまったときの情けなさまで描かれていて、自分の中にある弱さを丁寧に掬われるような感じがします。生きていればすべて過去にできる、という一文も、励ましというより、今ここでなんとか続けるための小さな灯りみたいでした。 人との距離に疲れたときや、自分の選んだ道に自信がなくなったとき、静かに寄り添ってくれる物語です。どこにも居場所が定まらないと感じている人ほど、じんわり刺さる一冊だと思います。

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出版社による紹介

親から継いだ牧場で黙々と牛の世話をする秀一は、三十歳になるまで女を抱いたことがない。そんな彼が、嫁来い運動で中国から迎え入れた花海とかよわす、言葉にならない想いとは――。(「波に咲く」)寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる。
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