
櫻子さんの足下には死体が埋まっている (角川文庫)
太田 紫織、鉄雄
KADOKAWA / 2018-02-02
この本について
仕事でも日常でも、状況だけ追いかけて肝心な“中で何が起きているのか”を見落としてしまうことってありますよね。自分もつい表面の情報で判断して、あとになって「もっと丁寧に見れば違う景色があったかも」と思うことが多いです。そんなモヤモヤを抱えているときに、この『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』の細やかな描写が、妙に頭に残りました。 読者の方が保存していた抜粋を見ると、毒草の症状を淡々と説明する場面や、解剖にまつわる制度のリアルなお金の話、あるいは警察組織の役割の細部など、物語の“裏側”を丹念に拾っている部分が多いんですよね。たぶん、事件そのものよりも「物事はこうして成り立っている」という構造の説明が刺さったんだと思います。自分も読んでいて、謎解きより先に、あらゆる判断に根拠があることを一つずつ示される感じが心地よかったです。 この本が効くのは、結論を急ぎがちなときに、少しだけ視線を深く沈める感覚を思い出させてくれるところです。専門的な世界の事情が出てくるのに、人物の会話として自然に入ってくるので、「知識を詰め込む」感じがなく、むしろ自分の理解の穴が静かに照らされるようでした。それに、制度や仕組みが抱える現実の“偏り”まで触れてくれるから、白黒で世界を見ない姿勢も育つ気がします。 細部から世界の裏側を覗くのが好きな人、あるいは物事の背景を丁寧に知りたいタイプの人には、とてもよく刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
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