
悪魔の辞典 (角川文庫)
アンブローズ・ビアス、奥田 俊介、倉本 護、猪狩 博
岩波書店 / 2018-12-24
この本について
最近、会話していても相手の意図を測りかねたり、計画を立てても結局は流されて終わったり、「自分って結局なにを分かってるんだろう」と思う瞬間がやたら増えました。真面目にやろうとするほど、世界のほうが皮肉に満ちている気がして、ちょっと笑えて、ちょっとしんどい。そんなときに読み返したのが、この『悪魔の辞典』でした。 この本がおもしろいのは、人生の面倒くささを「概念の定義」という形で真横から切ってくるところです。相談とは「採用済みの方針への賛意集め」、会話とは「脳みその品評会」、計画とは「偶然のために悩む行為」。こういう言い方をされると、普段うまくいかなかった場面の理由が、妙に腑に落ちてきます。しかも、読んでいて嫌な気持ちになるというより、むしろ肩の力が抜けて、人間ってだいたいこんなもんだよな、と思えてくる。 もうひとつ、この辞典には“自分の見方が絶対じゃない”と気づかされるところがあります。無学とは「自分の知らない知識に明るい人」、幸福とは「他人の不幸にわく気分」。定義としては歪んでいるのに、どこか真実に触れていて、読んでいるうちに他者への苛立ちや自分への過剰な期待が、すっと薄れていきます。 世の中をまっすぐに見ようとして疲れがちな人、あるいは皮肉にちょっと救われてしまうタイプの人には刺さると思います。日々の悩みがすぐ解決するわけじゃないけれど、ものの見え方が少しだけ楽になる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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