
エスプリ思考―エルメス本社副社長、齋藤峰明が語る―
川島 蓉子
新潮社 / 201304
この本について
仕事をしていると、どうしても「効率」とか「利益」を優先してしまって、本来大事にしたかった価値観が置き去りになっていく感覚がありませんか。いいものを作りたい気持ちはあるのに、現場のスピードや数字に押されて、自分が何を基準に判断していたのか曖昧になるあの感じです。僕自身、そこにずっとモヤモヤしていました。 この本を読んで印象的だったのは、「利益は目的ではなく結果」という、ごく当たり前なのに日々忘れてしまう視点を丁寧に扱っているところです。エルメスが新しいものを作るとき、職人、デザイナー、販売担当が集まって、技術とデザインとお客の気持ちを突き合わせながら形にしていく話は、仕事の進め方そのものを見直すきっかけになりました。また、職人の闘った痕跡が人を感動させる、というエピソードも、成果よりプロセスに心が動く理由を静かに思い出させてくれます。 もうひとつ、読んでいて背筋が伸びたのは「いいものしか出してはいけない」という姿勢が徹底している点でした。完璧主義ではなく、使う人の生活に責任を持つという意味での覚悟です。派手な言い方をせず、当たり前のことを当たり前に積み重ねてきた企業の物語は、今の自分の働き方にも置き換えやすいと思います。 自分の仕事にもう少し誠実でいたい人、目先の数字に振り回されて苦しくなっている人には特に刺さるはずです。効率や成果の外側にあるものを取り戻したいとき、静かに軸を戻してくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
読書の順序
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