
望郷と海 (ちくま学芸文庫)
石原吉郎
累計読者数3
平均ハイライト数 11.7件/人
推定読了時間 約6時間53分
star総合評価 40/100
start序盤集中型
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この本について
最近、誰かと一緒にいてもどこか距離を感じたり、自分の中の冷たさみたいなものに戸惑うことがありませんか。連帯したいのに踏み出せない、あるいは優しさを向けられた瞬間にむしろ苦しくなる。頭では説明しづらいのに、なぜか胸に残るあの感覚です。 『望郷と海』を読むと、その戸惑いの根っこにある「人が人であることのぎりぎりの境界」が静かに照らされます。たとえば、孤独は単独ではなく連帯の中に宿るものだという指摘や、死の瞬間に人が最後まで求めるのは「自分が確かに存在した」という確認だという描写。どれも強制収容所という極限で語られているのに、日常の私たちにもつながる実感ばかりです。人間のやさしさが時に人を追い詰めてしまうことがある、という言葉も、思い当たる場面がある人は多いと思います。 この本は、希望を直接くれるようなタイプではありません。でも、人間にとって「見たくないもの」を避けずに見つめることで、逆に自分の感情の輪郭がはっきりしていく体験があります。連帯の意味、生と死の境目、そして自分が加害側に立ちうる怖さ。そういうものに一度でも立ち止まった人なら、静かに効いてくるはずです。 生きづらさの源が言葉にならないまま胸に残っている人にこそ、届く一冊です。
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出版社による紹介
1945年、ハルピンでソ連軍に抑留された著者は、1953年に特赦で日本に帰還するまでの8年間、シベリア各地のラーゲリを転々とした。極寒の地での激しい強制労働、栄養失調、それに同じ囚人の密告などなど。帰還後、著者は自己の経験をすこしずつ詩に、そして散文に書きとめる。まさにそれは、その経験を語りうる統覚と主体の再構成を意味していた。本書は、「告発せず」を貫きながら,何より厳しく自己の精神と魂のありようを見つめつづけた稀有の記録である。
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