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小説のストラテジー (ちくま文庫)

小説のストラテジー (ちくま文庫)

佐藤亜紀

累計読者数5
平均ハイライト数 10.8件/人
推定読了時間 約4時間59分
star総合評価 34/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%

この本について

小説を読む時、つい「作者が何を言いたいのか」を追ってしまって、読み終わったあとに妙な置き去り感が残ることがありませんか。物語は分かったはずなのに、自分はどこにも参加できていないような、あのもやっとした感じです。僕も長いあいだ、小説は“意味を受け取るための装置”みたいに扱ってしまっていて、それが読書のしんどさにもつながっていました。 佐藤亜紀『小説のストラテジー』は、その思い込みを静かに壊してくれます。まず、作品は「知覚が受け取る刺激の組織化」そのものなんだ、と言い切る姿勢に驚かされます。語の意味よりも、その身振りや質感をどう受け取るかをちゃんと見ること。表面に留まる強さを持つこと。そして、作品を“送り手が流し込むもの”として扱うのではなく、読み手が手探りで働きかけていい場なのだと受け止めること。このあたりが刺さった人は多いんじゃないかと思います。 読み手がフォアグラの鵞鳥みたいに扱われる状況への違和感を言語化してくれる点も大きいです。作品を前にした自分の感覚を信じていいし、そこで起こるやり取りこそが読書の醍醐味なんだと、かなり実感を伴って教えてくれます。意味を急がず、まず表面に立ち止まる読み方を背中から支えてくれる本です。 「物語を消費するだけの読書に息苦しさを感じている人」にとって、かなり深く刺さると思います。

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