
街道をゆく5
司馬遼太郎
株式会社朝日新聞出版 / 2008-09-30
この本について
仕事でも日常でも、価値観の違う相手と向き合うたびに、「なんでこんなに噛み合わないんだろう…」と不思議になることがあります。言い方なのか、育った環境なのか、それとももっと根っこにある“文化のクセ”みたいなものなのか。自分の視点だけで理解しようとすると限界があって、モヤモヤだけが残るんですよね。 『街道をゆく5』を読んでいて感じたのは、その“文化の根っこ”を、土地と暮らしのレベルから静かに教えてくれる本だということです。たとえば、遊牧民と農耕民の関係を「草を残す/草をひっくり返す」という生活の前提から説明してくれると、民族の対立も単純な好き嫌いじゃなく、生存条件の違いから生まれるものとして腑に落ちていきます。あるいは、糞がすぐ乾いて燃料になるような環境で暮らす人たちが、なぜ今も包にこだわり続けるのか。その感覚的な理由まで踏み込んで描かれているので、文化の“選択”がただの伝統ではなく身体感覚に根ざしていることがわかります。 そしてもうひとつ、司馬さんがさりげなく書く「歴史の見え方の変化」も大きいです。侵略がある時代では英雄で、別の時代では悪となる。視点が変われば評価も変わる。これを歴史の現場を歩きながら語ってくれるので、人や組織を評価するときの自分の基準も少し揺さぶられる感覚があります。 文化の違いに疲れてしまったときや、自分の見ている世界が狭い気がするときに効く本です。特に「相手を理解したいのに、どうしてもピントが合わない」という人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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