
神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)
ブッツァーティ and 関口 英子
この本について
日々、なんとなく「自分の外側にある大きな力」に振り回されている感じってありませんか。仕事でも人間関係でも、正しさより“空気”が勝つ場面が多くて、そこで疲れてしまう自分を持て余すことがある。周りの目が気になって、本音とは逆の行動をとってしまう時なんてなおさらです。 『神を見た犬』を読んでいて刺さったのは、そういう“得体の知れない支配”の正体を、あくまで物語のかたちで見せてくれるところでした。神が犬に宿って村を歩き回る話なんて荒唐無稽に聞こえるのに、読んでいると「自分の職場にもこういう見えない圧ってあるよな…」と妙に腑に落ちてしまう。外側の力に怯える村人たちの振る舞いが、誇張ではなく、むしろ日常そのものの写しに見えてくる瞬間があります。そして、その圧に対して人がどう折れ、どう諦め、どこでようやく自分の声を取り戻すのかが、寓話の形で静かに描かれる。 また、お金や知識への距離感がやたらリアルで、登場人物が抱える“自分の弱さへの気まずさ”にいちいち心がざわつきます。金にまつわる罪悪感とか、インテリぶることへの皮肉とか、誰もが一度は感じたことのある後ろめたさが淡々と書かれていて、そこで妙に救われる。自分だけが迷っているわけじゃないんだ、と肩の力が抜ける感じがあります。 目に見えない圧に疲れやすい人、周りの基準に振り回されがちな人には、特にしみる一冊だと思います。物語を読んでいるだけなのに、自分の中の“おそれ”の輪郭が少しだけはっきりする、そんな本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
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