
死体は今日も泣いている~日本の「死因」はウソだらけ~ (光文社新書)
岩瀬 博太郎
光文社 / 2014-12-15
この本について
人の死因って、もっとはっきりわかるものだと思っていました。けれど実際には、急死した身近な人の死因が「急性心不全」とだけ書かれていて、何がどう起きたのかよくわからない。この国ではそれを深掘りする仕組みがほとんど動いていないらしい、と気づいたときのあのモヤモヤは、たぶん多くの人に共通している気がします。 この本は、そんな「なぜわからないのかが、そもそもわからない」という感覚に対して、静かに輪郭を描いてくれます。特に刺さったのは、犯罪性の有無を判断する前に解剖が行われないという日本特有の流れや、警察が検査を独占することで相互監視が働かず、ミスや見落としに気づけない構造が長く放置されているという指摘でした。また、焼死体でさえ地域によって解剖されるかどうかがバラバラで、死因の確かさが“運”に左右されてしまう現実にも背筋が伸びます。死者のプライバシーや遺族の生活まで巻き込んでしまうという副作用まで丁寧に描かれていて、「制度って、放っておくとこう歪むのか」と自分ごととして感じられました。 派手な主張をする本ではないですが、”死因を知る”という行為が、社会の安全にも、冤罪防止にも、遺族の尊厳にもつながっていくという当たり前のことを、具体的な現場の話からじんわり理解できます。制度の話が苦手でも、知らないままにしておくには大事すぎる内容です。 自分や大切な人の「最期」がどう扱われるのかを、一度ちゃんと知っておきたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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