
仮面病棟 (実業之日本社文庫)
知念 実希人
実業之日本社 / 2014-12-15
この本について
仕事でも日常でも、自分が見ているものが本当に「全部」なのか分からなくなるときがあります。誰かの意図や本心が欠けている気がして、目の前の出来事だけ追いかけても腑に落ちないまま終わるあの感じ。僕もよくそこで迷子になります。 『仮面病棟』は、まさにその“見えている情報の薄さ”にざわっとさせられる話でした。読者が保存していた抜粋を見ると、みんな細かい違和感に反応しているんですよね。切断された電話線、なぜか開かれている手術痕、置きっぱなしのキーケース、ずれた時間軸。ひとつひとつは小さなほころびなのに、それが積み重なると「この病院、何かおかしいぞ」と思わずにはいられない。この“違和感の積層”が、自分の日常を振り返るスイッチにもなるんです。 読み進めるほど、表向きの説明が信用できなくなっていく感覚があります。院長をめぐる会話の曖昧さや、三階から五階までの患者たちに共通していた“大きな手術”という事実。物語の謎そのものももちろん面白いんですけど、「人は意図的に見せたいことしか見せてこない」という現実にもつながってくる。忙しさに流されて、僕たちもつい“与えられた情報だけで判断してしまいがちだな”と気づかされました。 緊迫した話ではあるけれど、単にスリルを味わうというより、物事をもう一段深く見る感覚を取り戻したいときに効きます。特に、仕事で「なんとなく違和感はあるのに、理由が言語化できない」という人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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