
武道館 (文春e-book)
朝井リョウ
文藝春秋 / 2018-03-09
累計読者数4
平均ハイライト数 11.5件/人
推定読了時間 約4時間22分
star総合評価 56/100
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この本について
何を選べばいいのか、もうよく分からなくなる瞬間ってありますよね。無料で何でも手に入るぶん、自分が本当に欲しいものや、大事にしたいものの輪郭がぼやけていく感じ。誰かの幸せを願いたいはずなのに、いつのまにか「誰かの失敗」に惹かれてしまう自分に気づいて、ふと嫌になるときもあると思います。 『武道館』は、アイドルの話ではあるんですが、「選ぶこと」と「好きでい続けること」のしんどさに真正面から触れてくる小説でした。たとえば、何かを選んで、それを自分の手で“正しかった選択”にしていくしかないという感覚。流されるんじゃなく、選んだ結果に向き合う苦さと潔さが、妙に現実とリンクします。また、誰かのタブーや失敗が表に出た瞬間、それまで積み上げた価値がゼロになるような世界で、それでも「私は何も変わっていない」と言い張る登場人物の姿が、人間関係や仕事での孤独にそのまま重なるんですよね。 そして意外と刺さったのが、「怒りは、その人の器の形をさらけ出す」という場面でした。自分が何に怒るのかって、実は自分がどんな人間なのかを教えてくれる。それを外にぶつけた瞬間に器がいっぱいになる描写は、普段の生活でも思い当たる人が多いはずです。 推しやアイドルが好きな人だけじゃなく、「自分の選択の意味を見失いがちな人」に静かに効いてくる物語だと思います。迷っている途中の人ほど、この揺れをそのまま受け取れるはずです。
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出版社による紹介
【正しい選択】なんて、この世にない。 「武道館ライブ」という合言葉のもとに活動する少女たちが、最終的に”自分の頭で”選んだ道とは——。 様々な題材を通して現代を描き続けてきた著者が今回選んだのは「アイドル」。 視聴者のあいだで物議を醸したドラマ化を経て、待望の文庫化。 解説には、音楽家として多くのアイドルをプロデュースしてきたつんく♂を迎える。 結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。 独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、 さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。 しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。 そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。 「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」 「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」 恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業…… この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、 アイドルという存在から発生したものも多い。 新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。 現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。
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