
天翔る (講談社文庫)
村山由佳
講談社 / 2015-08-12
この本について
仕事でも人間関係でも、自分の力を出したい時に限って空回りしたり、周りの視線が気になって萎縮してしまうことってありますよね。がんばっているつもりなのに、なぜか思ったとおりに動けない。あの「自分の中の軸がズレてる感じ」をどう扱えばいいのか、僕もずっと迷っていました。 『天翔る』の抜粋を読んでいると、まりもが馬に乗る場面だけじゃなく、人に傷つけられたあとに震えながらも前に出ていく姿が、妙に胸に残ります。志渡に「いつもどおりでいい」と背中を押されて、ほんの数歩でも自分の足で踏み出す。その瞬間の呼吸がひらく描写は、読んでいてこちらまで救われる感じがありました。誰かの期待に合わせるんじゃなくて、自分の“手綱の持ち方”を思い出す話なんだと思います。 もうひとつ印象的なのは、馬が前の人たちにだらけさせられて動かなくなっていて、まりもが脚を入れ直して反応を取り戻す場面。環境や他人の扱いで、自分の中の「動きたい気持ち」が眠ってしまうことって、現実でもよくあるなと感じました。でも、小さな合図を積み重ねると、ちゃんと前に進める。そこに変な根性論はなくて、ただ丁寧な積み重ねとして描かれているのが安心できるんです。 誰かの言葉で心が折れやすい人や、「本当の自分ってどこに置いてきたんだろう」と感じている人には、特に刺さる物語だと思います。無理に励まされるわけでもなく、でも読み終えると、自分の呼吸が少しだけ整っている。そんな一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
読書の順序
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