
右翼と左翼 (幻冬舎新書)
浅羽通明
幻冬舎 / 2006-11-30
この本について
右とか左とか、ネットで見かけるたびに「結局どういう意味なんだっけ」と胸の奥にもやっと残ることがありませんか。言葉だけが独り歩きして、議論というよりも反射的な罵り合いに見えてしまう。自分もそこに巻き込まれたくないけれど、距離を置きすぎるとニュースの背景も読み解けない。この中間地点で立ち止まってしまう感じ、けっこうあると思います。 浅羽通明『右翼と左翼』は、そのもやもやに淡々と輪郭を与えてくれました。歴史上の人物や事件の羅列に見える部分も、読んでみると「この立場の分かれ方にも、時代の事情があったんだな」と実感として腹に落ちていきます。ネット空間で“ウヨ”“サヨ”が乱発され始めた経緯も、当事者の心の不安定さまで含めて描いていて、単純なレッテル貼りでは語れない事情が透けて見えるのが印象的でした。右と左が本質的に何を指してきたのか、そして今ではどう希薄化しているのか。その揺れを歴史の流れの中で見ると、いまのニュースもすこし違って見えます。 個人的には、フランス革命からの「右」と「左」の出発点や、学生運動の実際の空気が、教科書よりずっと人間くさく描かれているところに救われました。覚えるための知識じゃなくて、社会を見るときの“足場”が一段増える感覚に近いです。政治的に尖った人向けではなく、むしろ「言葉の意味が曖昧なまま流されるのがしんどい人」に静かに刺さる本だと思います。 右か左か以前に、まず自分の足元を整えたいときにそっと開いておくといい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの99%が集中しています。
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