
人間の大地 (光文社古典新訳文庫)
サン=テグジュペリ and 渋谷 豊
この本について
仕事に追われたり、日々の責任をなんとか回しているだけで終わってしまうと、「自分は何を軸に生きてるんだろう」とふと立ち止まる瞬間がありますよね。考える余裕はないのに、心のどこかでは息苦しさだけが積もっていく。そんなときにこの本を読むと、砂漠や夜空の描写よりも先に、「自分はいつのまにか小さな牢獄を作っていたのかもしれない」という感覚がじわっと出てきます。 サン=テグジュペリは、飛行機という“職業の道具”を通して、人は障害に向き合うときに初めて自分と出会うんだ、と淡々と語ります。読者が保存していた箇所も、まさにそこに惹かれている感じがしました。たとえば、年老いた役人の話。誰だって同じで、気づかないうちに光を遮る壁を積んでしまう。でもそれは責めるためじゃなく、「誰かが肩をつかんで引き戻してくれていたら」という含みがあって、読む側にも妙な救いがあります。あるいは、地面の抵抗を通してしか本当の自分は見つからないという指摘。仕事でも私生活でも、目の前の厄介ごとに向き合うことが、自分を削るんじゃなくて逆に形にしていくんだ、と思えるんです。 そしてもう一つ大きいのは、職業が人と人を結びつけるためにある、という視点です。物質的な成功に走るほど孤独になっていく感覚を経験した人には、この静かな言葉がかなり沁みると思います。 生き方が固まってしまった気がする人、あるいは「今の自分に少し飽きている人」に、じわじわ効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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