
基礎から学ぶ認知心理学――人間の認識の不思議 有斐閣ストゥディア
服部雅史、小島治幸、北神慎司
有斐閣 / 20250927
この本について
日常の中で「なんで人ってこんなふうに感じるんだろう」と立ち止まる瞬間、けっこうありませんか。相手の反応が読めなかったり、自分の判断がブレたり、説明しづらい違和感だけが残ったり。そういう時って、自分の性格の問題にしてしまいがちですが、この本を読むと、そもそも私たちの“感じ方そのもの”がかなり独特な仕組みで動いているんだと気づかされます。 たとえば、赤い環境では注意が高まって青い環境では創造性が上がるという話や、同じ重さでも荷物の大きさで軽く感じたり重く感じたりする錯覚。あるいは、図形にラベルをつけられるだけで、あとから事実よりも「そう見えたはず」と記憶がねじれる現象。こうした細かな例が積み重なると、私たちは物理的な世界を“正確に”見ているわけではなく、状況や過去の経験から推定しながら世界をつくっている、という実感がじわじわ湧いてきます。これは仕事の判断にもコミュニケーションにもそのまま響く感覚で、相手との食い違いを「性格の問題」にしなくなるのが、この本の一番の効き目です。 さらに、テーマを先に与えられただけで理解度も記憶も倍近く変わるという話は、会議資料や説明の作り方にも直結します。自分の知識がむしろ邪魔をする確証バイアスや、言葉にならない深部感覚の話などもあり、「なぜ自分はこう判断したのか」を言語化しやすくなる一冊でした。 自分や他人の“認知の癖”に振り回されている気がする人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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