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陰翳礼讃

陰翳礼讃

TRkin

三和書籍

累計読者数56
平均ハイライト数 66件/人
推定読了時間 約8時間24分
star総合評価 79/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 42%

この本について

明るい部屋でスマホを眺めていると、どうしても「全部がはっきり見えてしまう疲れ」を感じることがあります。情報も正しさも、光を当てれば当てるほど輪郭がくっきりするはずなのに、実際はむしろ落ち着かなくなる。そんなとき、ものの見え方そのものを疑ってみたくなる瞬間があるんですよね。 『陰翳礼讃』が効いてくるのは、その「はっきりしすぎる世界に疲れた感じ」に対して、別の呼吸を思い出させてくれるところだと思います。読者が保存していた抜粋の多くは、闇や不鮮明さが美をつくる、という視点に集まっていて、まさにそこにこの本の核心があります。黄金が闇の中でこそ光ること、漆器が明るい照明では本来の美を見せないこと、あるいは厠の薄暗さにすら「瞑想に似た時間」が宿ること。これらは単に文化論ではなく、ものを見る私たち側の姿勢を静かにひっくり返してくれます。 その結果、日常の細部で「強い光を当てなくてもいいもの」が見えてくる感覚が生まれます。料理の湯気の匂いで味を予感する瞬間とか、曇った器の肌にじわりと光が沈んでいく感じとか、そういう“余白のまま味わう行為”が、この本を読むと少し取り戻せるんです。明確さより落ち着き、効率より気配に寄っていくような手触りがあります。 こんな人に刺さると思います。ものを「はっきり理解しないといけない」と思い込み、かえって感覚が硬くなっていると感じる人。読み終える頃には、曖昧さを拒まない視力が少しだけ戻っているはずです。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

谷崎 潤一郎 著 A5判 416ページ 価格3,500円+税 ISBN978-4-86251-553-7 シリーズ第3巻、表題作の「陰翳礼讃」は、まだ電灯がない時代の西洋の文化と日本の文化の陰翳に対する考え方の違いを建築、照明、紙、食器、能や歌舞伎の衣装の色彩など、多岐に渡り考察している。 「吉野葛」は、大和の吉野を舞台に歴史小説を書くために旧友を訪ねる。吉野に伝わる風物や伝説などが感じられる作品。「蘆刈」と共に、谷崎中期の傑作を収載。 目次 陰翳礼讃 吉野葛 蘆刈 著者プロフィール 谷崎 潤一郎(タニザキ ジュンイチロウ) 1886年(明治19年)~1965年(昭和40年)。東京・日本橋生まれ。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。主な作品に「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など、傑作を多く残している。
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