
文明が衰亡するとき(新潮選書)
高坂 正堯
新潮社 / 2012-05-25
この本について
最近、社会の変化のスピードに気持ちが追いつかないという話をよく聞きます。新しい技術にどう向き合うかとか、組織がどこへ向かうのかとか、自分の力ではどうにもできない大きな流れの中にいる感じがして、なんとなく落ち着かない。僕自身もよくその感覚に陥ります。 『文明が衰亡するとき』を読んでいて思ったのは、こういうモヤモヤって実は昔から人間が抱えてきたものなんだな、ということでした。たとえば、成功した組織ほど新しい技術を怖がる話や、制度よりも人の質が組織を決めてしまう話、そして豊かさが人を柔らかくしてしまう話。どれもいまの社会や仕事の現場で見かける光景とほとんど同じで、歴史を読むというより、自分の足元を照らされているような感覚がありました。 この本が効くのは、目の前の問題を大きくしすぎてしまったときに、視点を少し引き上げてくれるところです。ローマがなぜ長く続いたのか、逆にどこから歯車が狂ったのか、具体的なエピソードを通して読むことで、いまの組織や社会で起きていることを別の角度から考えられるようになる。もちろん、歴史がそのまま解決策をくれるわけではないですが、状況の見え方が変わるだけで判断がしやすくなる瞬間がありました。 いまの働き方や社会の空気に違和感があるけれど、単なる愚痴では終わらせたくない人に向いている一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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