
(新版)精神科治療の覚書 NBS
中井 久夫
みすず書房 / 202308
累計読者数6
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この本について
メンタルのことって、言葉にしようとした瞬間にズレが出てしまう感覚がありませんか。自分でも何が起きているのか判然としないし、周りに説明しようとすると余計に空回りする。いま何を支えにしたらいいのか分からないまま、ただ疲れていく感じ。僕も似たところでよくつまずきます。 中井久夫さんの『精神科治療の覚書』は、そういう「言葉になりにくい領域」を無理に整理しようとせず、現実的な距離感で扱ってくれる本でした。たとえば、急性期の人が求めているのは理屈よりも「心の平和」だという指摘や、問題が一度に押し出されて筋がつかみにくくなる場面の描写など、読者の抜粋からも分かるとおり、机上の理論ではなく臨床の現場でしか触れられない観察が淡々と出てきます。そして「分かる、分かる」と安易に寄り添うことが逆効果になることや、沈黙の権利を保証する必要など、こちら側の態度そのものをそっと調整してくれるような示唆も多いです。 読んでいると、病名や知識より前に「人が安心して治れる条件って何だろう」と考える土台がつくられていく感じがします。治療者だけでなく、身近な誰かの変調にどう向き合えばいいか迷っている人にも落ち着いて効いてくる一冊だと思います。こんな人に刺さる本です。誰かの苦しさに対して、何をしていいのか分からず立ちすくんだことがある人。
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