
桜のような僕の恋人 (集英社文庫)
宇山佳佑
集英社 / 2017-02
この本について
最近、人との距離感に自信が持てなくなることが多いんですよね。仕事でも恋愛でも、どう見られているか気になって一歩が出ない。逆に、昔の自分を知る人の前では「今の姿」を見せるのが怖くなる。そんな揺れを抱えたまま日々を続けていると、ふと疲れてしまうことがあります。 『桜のような僕の恋人』の抜粋を読んでいて、刺さっている人が多いのは、おそらく“誰かに愛されたいけど、自分を差し出すのが怖い”という感覚なんじゃないかと思いました。美咲が「同い年だった頃の私を覚えていてほしい」と願うところや、晴人が自分をごまかしながらも本当は変わりたいと苦しむ姿って、綺麗ごとじゃなくてすごく人間らしい。理想の自分と、現実の自分。その両方に揺れながら誰かを好きになっていく過程が丁寧に描かれていて、読んでいる側の心もじわじわ動いていきます。 この物語が効くのは、若さとか外見とか肩書きみたいな“変わっていくもの”に縛られがちな人が、少し視点をゆるめられるところです。愛されることへの戸惑いがあっても、その不器用さごと受け止められていく。噓をついてしまう弱さも、追いつけない焦りも、全部ひっくるめて前に進もうとする姿に、自分の小さな後悔や躊躇がそっとほどけていく感じがします。 恋愛小説だけど、恋そのものより「誰かと関わるときの痛みと救い」を読みたい人にちょうどいい一冊です。ほんの一瞬で世界が変わる感覚を、久しぶりに思い出させてくれます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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