
恋とか愛とかやさしさなら
一穂ミチ
小学館 / 2024-10-30
この本について
人間関係って、相手のことを信じたいのに、どうしても「本当に?」と胸の奥がざわつく瞬間がありますよね。自分の見方の歪みなのか、相手の問題なのか、それともただの恐れなのか。頭では整理できないまま、でも日常は続く。そんな曖昧さを抱えたまま過ごしていると、知らないうちに自分のほうが疲れてしまうことがあります。 『恋とか愛とかやさしさなら』は、その“曖昧なところ”を無理に切り分けようとせず、むしろ誰もが抱えてしまう揺れの中に丁寧に留まってくれます。信じることだけ純度を求められる理不尽さとか、わかり合えない部分を前提に関係を続ける難しさとか、誰かを理解したい気持ちの裏にひそむ「自分の都合」への気づきとか。きれいごとでは済まない場面が続くのに、不思議と読んでいる側が責められている感じはしなくて、むしろ「こういう迷いって誰にでもあるよね」と、肩の力が少し抜けるんです。 特に刺さったのは、自分の“見たい構図”でしか世界を切り取れないという描写。これ、恋愛に限らず、人の行動をどう受け取るかで悩んでいる時にもそのまま当てはまります。あとは、加害と被害、好きと嫌悪、理解したい気持ちと距離を置きたい気持ちがぐしゃっと混ざる関係の描き方。白黒つけられない現実を前に立ち尽くした経験のある人なら、どこかで息をのみます。 恋愛小説という枠を越えて、「人をどう見るか」で迷っている人に刺さる一冊です。自分の揺れをごまかさないで読むと、ちょっとだけ視界が変わるかもしれません。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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