
ハイデガー『存在と時間』入門 (講談社現代新書)
轟孝夫
講談社 / 2017-07-20
この本について
最近、目の前の出来事に振り回されてばかりで、「結局、自分はいま何を大事にして動いているんだろう」と立ち止まる瞬間が増えていました。予定をこなしているはずなのに、どこか現在だけを切り取って生きているような感覚です。でも、過去に積み重ねてきたものや、これから向かう方向をうまくつかめないと、今この瞬間の意味もぼやけてしまうんですよね。 ハイデガーを扱った本書を読んでみて感じたのは、「ものを見るとき、過去と将来まで含めて理解している」という指摘が、自分の生活にもそのまま当てはまっていたことです。たとえば仕事で判断に迷うとき、私は“いま起きていること”ばかり見ていたけれど、その判断が生まれた背景や、自分がどこへ向かおうとしているのかを思い出すだけで、少し視界が開ける。こういう視点の転換が、本書の丁寧な説明のおかげで腑に落ちました。また、「不安」が単なるネガティブではなく、自分の可能性に直面したときに起きるものだという話も、妙にリアルでした。逃げたくなる気持ちの裏に、ちゃんと“自分のあり方”が潜んでいるのかもしれない、そんな手触りが残ります。 『存在と時間』そのものは難解で有名ですが、この新書は“どう読み解けば生活の感覚に接続できるのか”を引きずり上げてくれる一冊でした。哲学を道具として使いたい人、あるいは「このまま進むのが正しいのか」と静かに不安を抱えている人に、とても相性がいいと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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