
鹿の王【全4冊 合本版】 (角川文庫)
上橋 菜穂子
KADOKAWA
累計読者数8
平均ハイライト数 2.3件/人
推定読了時間 約16時間11分
star総合評価 37/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 27%
この本について
最近、誰かに役立つことをしているはずなのに、自分の中がすり減っていくような感覚が続いていました。与えることと奪われることの境界が曖昧になって、結局どこに立てばいいのか分からなくなるあの感じです。そんなときに『鹿の王』を読んで、少し視点が整った経験があります。 この物語には「食う側が強い」という単純な力の図式を揺らす場面がいくつも出てきます。食われる側にも痕跡が残り、生き物同士がつながっていくという捉え方は、負けても消えないものがある、という柔らかい励ましに近いものでした。また、オタワル人の「他者を生かすことで自分も生きる」という考え方は、与えることが自己犠牲になるのではなく、循環として回っていくという感覚を与えてくれます。きれいごとではなく、したたかに生き延びてきた人々の言葉だからこそ、妙に腑に落ちました。 さらに、命のやり取りや危機の場面で描かれるキャラクターの決断力は、「いまの自分なら何を選ぶだろう」という静かな問いを返してきます。誰かを守る、誰かに託す、そのどれもが完璧ではないけれど確かに前へ進んでいく。読んでいると、自分の迷いがまるごと否定されず受け止められていく感じがしました。 こんな人に刺さると思います。勝ち負けでは割り切れない世界で、それでも折れずに生きたい人。物語としての面白さはもちろんですが、自分の輪郭が少し整うような読後感がある一冊でした。
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出版社による紹介
強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てることにする。一方、謎の病で全滅した岩塩鉱を訪れた若き天才医術師ホッサルは、遺体の状況から、二百五十年前に自らの故国を滅ぼした伝説の疫病“黒狼熱”であることに気づく。征服民には致命的なのに、先住民であるアカファの民は罹らぬ、この謎の病は、神が侵略者に下した天罰だという噂が流れ始める。古き疫病は、何故蘇ったのか—。治療法が見つからぬ中、ホッサルは黒狼熱に罹りながらも生き残った囚人がいると知り…!? たったふたりだけ生き残った父子と、命を救うために奔走する医師。生命をめぐる壮大な冒険が、いまはじまる—! ※本電子書籍は「鹿の王 1」「鹿の王 2」「鹿の王 3」「鹿の王 4」を1冊にまとめた合本版です。巻末に電子版オリジナルイラストが収録されています。
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