
ミドルマーチ1 (光文社古典新訳文庫)
ジョージ・エリオット、廣野 由美子
この本について
仕事でも人間関係でも、「理想はあるのに、現実のほうが入り組んでいて、自分でも何をしたいのかわからなくなる」という瞬間があると思います。気高い気持ちで選んだはずの道が、日常の細かさに押しつぶされていく感じとか、他人の考えとのズレに戸惑う感じとか。ミドルマーチの抜粋を読んでいると、まさにその混乱をそのまま言葉にされたようで、胸がざわつきました。 この物語の人物たちは、みんな理想と現実の間で迷い続けています。自分の価値観を大事にしたいのに、周囲の常識や誰かの期待とぶつかったり、想像していた未来が現実になると、思い描いていた状態とは全然違って見えたりする。主人公ドロシアの「正しくありたい」という衝動が、時に極端に走ったり、逆に自分を縛ったりする様子は、私たちの日常にもよく重なります。何か大きなことを成し遂げたいと思いながら、結局は細部に足を引っ張られていく感じや、誰かを理解したつもりで実は全く分かっていなかった、という苦さも丁寧に描かれています。 この本の効き目は、派手な解決策があるわけではなくて、「人はそもそも矛盾だらけ」という前提に少し安心できるところだと思います。自分の判断が揺れるのも当然だし、理想に向かう途中で迷うのも普通で、むしろその揺れの中に生きていくしかないんだな、と落ち着く感じがありました。理想と現実のどちらかに寄せるのではなく、両方を抱えたまま進むしかない、という視点をそっと置いてくれます。 理想にまっすぐ向かいたいのに、現実の細部に足を取られやすい人には、特に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
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