
CVC コーポレートベンチャーキャピタル―――グローバルビジネスを勝ち抜く新たな経営戦略
アンドリュー・ロマンス, 増島雅和, and 松本守祥
この本について
新規事業やCVCに関わっていると、「戦略的リターンって本当に測れるのか」とか、「結局どこまで事業部と組めばいいのか」みたいな、誰に聞けばいいのかよく分からない悩みがずっとつきまといます。財務リターンは数字で割り切れるのに、戦略のほうは評価軸が曖昧で、社内の期待と現場のリアルのあいだで揺れることも多いはずです。 この本は、そのモヤモヤに対して「完璧な答え」ではなく、「現場でこうやって折り合いをつけている」という具体例を出してくれるところがありがたかったです。例えば、堅実な投資で財務リターンを取りにいきつつ、イノベーティブな領域は事業部と協働して価値を出すという二段構えの考え方や、投資担当の報酬設計をファンド全体の成果と連動させることで質が安定するという指摘など、綺麗ごとではないリアリティがそのまま書かれています。また、CVCは10年単位で取り組むべきで、景気に過剰反応しない姿勢が結果的に一番強いという点は、自分の判断軸を見直すきっかけになりました。 特に刺さったのは、「戦略と財務は二者択一ではなく連続体」という話で、ここをどう扱うかでCVCの体質が決まってしまう気がします。投資テーマを毎年決めつつ、25%はテーマ外に振り向ける、という“余白の作り方”も実務的で参考になりました。スタートアップ側がCVCを避けるケースがある理由まで書いてあるので、社内外の力学も立体的に見えてきます。 CVCの役割に悩んでいる人、戦略と財務のあいだで立ち止まってしまう人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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