
母性のディストピア (集英社文芸単行本)
宇野常寛
この本について
ネットの空気に触れていると、「なんでこんなに疲れるんだろう」と思う瞬間がけっこうあります。誰かの正しさと正しさがぶつかって水掛け論になったり、逆に“好き”だけが無限に流れてきて、自分の気持ちの位置がわからなくなったり。便利なはずのテクノロジーなのに、どこかで自分の思考が硬直していく感じがあるんですよね。 宇野さんの『母性のディストピア』は、そんなモヤモヤの背景を「情報環境がどう変わってきたか」という視点から見直させてくれます。20世紀はテレビ的な受動の時代だったのに、21世紀でネットが“本来の姿”を取り戻したことで、私たちは相互につながりすぎ、判断や態度を常に迫られる存在になった。その変化が、SNSの息苦しさとか、言葉がやたら攻撃的になった理由とどう結びついているのかが、すっと腑に落ちていきます。 さらに面白かったのは、「自由に境界を越えられる」と振る舞う人たち自身が、結果として新しい壁をつくってしまうという指摘。これ、仕事やコミュニティでもそのまま当てはまると思っていて、“わかってる側”の無自覚さがどれだけ他者を追い詰めるのかを考え直させられました。SNSの世界がエンタメ化している、という視点も、自分の発信スタイルをどう整えるかに使えます。 ネット疲れの正体をただ言語化したい人、あるいは「なんでいつも議論がかみ合わないんだろう」と感じる人には刺さりやすい一冊だと思います。読み終わったあと、少しだけ肩の力が抜けて、世界との距離感を取り戻せる本です。
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多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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