
遅いインターネット (NewsPicks Book)
宇野常寛
幻冬舎 / 2023-04-06
累計読者数35
平均ハイライト数 30.8件/人
推定読了時間 約3時間28分
star総合評価 69/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 20%
この本について
社会やネットの分断について考えるとき、「なんでこんなに話が通じないんだろう」と立ち止まる瞬間がけっこうあります。正しさで説明すれば届くはずなのに、まったく響かない。むしろ噓でも魅力的な物語に人が流れていく光景を前に、自分の感覚のほうがズレているのでは…と不安になることもあります。 『遅いインターネット』は、この“噛み合わなさ”を、感情論でも精神論でもなく、世界の構造そのものから丁寧に読み解いてくれる本でした。Anywhere/Somewhere という対立の見方は耳慣れた話ではあるけれど、宇野さんの説明はその奥の「なぜそれが起きるのか」まで踏み込んでいて、壁を作りたい人々を“愚か”と切り捨てる態度こそが分断を深めている、という指摘にハッとさせられます。政治と経済の速度差や、「自分の物語」への欲望がどう世論を揺らすのかも、日常の景色とつながる形で語られていて、無理なく腹に落ちました。 いまのネット空間で何が起きているのかを、単なる善悪ではなく、仕組みとして理解したい人に向いている本だと思います。正しい答えを急ぐより、一度立ち止まって世界の見え方を組み替えたい、そんなときに静かに効いてくれます。
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出版社による紹介
インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた。 しかしその弊害がさまざまな場面で現出している。世界の分断、排外主義の台頭、ポピュリズムによる民主主義の暴走は「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例だ。 『遅いインターネット』が主張するこの指摘はコロナ禍とウクライナの戦争が起こる中、悪い意味で加速している。いま改めて最新の分析と対抗策を大幅に加筆しついに文庫化。 インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには、今何が必要なのか。気鋭の評論家が提言する。 解説:成田悠輔 ——————————————— 序章 オリンピック破壊計画 TOKYO2020 平成という「失敗したプロジェクト」 「動員の革命」はなぜ失敗したか 走りながら考える 第1章 民主主義を半分諦めることで、守る 2016年の「敗北」 「壁」としての民主主義 民主主義を半分諦めることで、守る 民主主義と立憲主義のパワーバランスを是正する 「政治」を「日常」に取り戻す インターネットの問題はインターネットで 第2章 拡張現実の時代 エンドゲームと歌舞伎町のピカチュウ 「他人の物語」から「自分の物語」へ 「他人の物語」と映像の世紀 「自分の物語」とネットワークの世紀 『Ingress』から『ポケモンGO』へ ジョン・ハンケと「思想としての」Google 仮想現実から拡張現実へ 拡張現実の時代 個人と世界をつなぐもの 物語への回帰 「大きな物語」から「大きなゲーム」へ 文化の四象限 第3章 21世紀の共同幻想論 いま、吉本隆明を読み直す 21世紀の共同幻想論 大衆の原像「から」自立せよ 「消費」という自己幻想 吉本隆明から糸井重里へ 「政治的なもの」からの報復 「母性のディストピア」化する情報社会 第4章 遅いインターネット 「遅いインターネット」宣言 「速度」をめぐって スロージャーナリズムと「遅いインターネット」 ほんとうのインターネットの話をしよう 走り続ける批評 文庫版書き下ろし 新章 分断する社会とより「速い」インターネット時代への対抗戦略 1.コロナ・ショックと「速い」インターネット 2.なぜ人はウイルスを直視できなかったのか 3.パンデミックとデジタル・レーニン主義 4.プラットフォームの時代と、その罠 5.持たざる者たちの希望と絶望 6.金融資本主義とプラットフォーム 7.21世紀のグレート・ゲーム 8.回帰と加速 9.戦争と「遅い」インターネット 10.プロパガンダの本質 11.モノからコトへ、再びモノへ? 12.肉でも穀物でも酒でもなく、禁断の果実を 13.強い物事と弱い人間 14.プラットフォーム下の実空間 15.「庭」へ 16.SDGsの18番目の目標 解説:成田悠輔
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